今まで血液リンパ液とみてきましたがでは「組織液」とは?
人の体液は、大まかに分けて2種類。「細胞内液」と「細胞外液」に別れます。
細胞外液は、人の体の水分60%の内20%。
血液、リンパ液、脊髄液、関節滑、唾液、胃液、腸液など。
そして、これ以外の細胞内液のことを「組織液」と呼びます。
組織液は、毛細血管の壁から細胞間に染み出した血液のことで、実はこの染み出した血液にも役割があります。主な成分は、毛細血管からはみ出したものなので、性質は似ていますが血管内には血液。組織の周りにあるのは組織液と区別してください。
この組織液も、細胞に栄養を届けたり、細胞から老廃物を回収する役割を果たしています。
細胞内液は、人の体の水分60%の内、残りの40%。
エネルギー産生やタンパク質の合成などの代謝反応に関係しています。
この細胞内液が、細胞外液の2倍であるというのはとっても重要で、循環血液量が減少したときに補えるような役割を担います。
私たちは、水を飲んだり食事などから水分や電解質を摂取していますが、それとほぼ同じ量を体外に排出したり、また水分の電解質のバランスをとっています。
そんなふうに体の水分量や、電解質の濃度を一定に維持することを、
「恒常性(ホメオスタシス)」と呼び、健康を維持するための仕組みとなっています。
何らかの原因で恒常性が崩れ、体液の異常が起こると体調を崩し結果、病院で点滴をすることになるのですが、その輸液で最も重要なのは「水、電解質の補給」体液を正常な状態に保つことになります。その次に「栄養の補給」「血管の確保」「病態の治療」となります。
点滴したら、2~3時間のうちにもう回復。実感があると思いますが、輸液には治療効果が高まり、回復短縮の効果があり、それほどまでに体内の水分量や電解質のバランスが重要となってくるのです。
水分のバランスの他にも、気温が上がったり下がったり。湿度等もそうですが、そんな状態でも体温や血圧が大きく変わることはないですよね。
人が体外環境に大きく影響されずとも、体温調節が一定に維持されているのも恒常性の仕組みが働いているからになります。
体液は電解質組成でなっていて血液などの細胞外液は、ナトリウム、クロール、イオンが主な電解質です。
細胞内液には、カリウム、リン酸、イオンが多く含まれています。
同じ体内の電解質組成が、細胞の内と外で異なるのは、細胞膜による電解質の移動制御のため。細胞を包む細胞膜は、水は自由に通しますが、電解質などのほとんどの物質の出入を制御しています。
電解質にはそれぞれの役割があります。
血液などの細胞外液に含まれている電解質
「ナトリウム」(NA⁺)は、体液浸透圧の調節や細胞外液量の維持に最も重要な働きをしています。ナトリウム濃度に応じて、細胞外液量を変化させる働きがあります。
「クロール」(CI⁻)細胞外液の主な陰イオン。(NA⁺)と共に「NaCl」として相互関係のもとに、体液浸透圧の調節、細胞外液量の維持等の働きをします。
「重炭素イオン」(HCO₃⁻)血液のpHを正常に維持する役割。
pHは、水素イオン(H⁺)の濃度を示し、体内の血液の状態が酸性なのか、アルカリ性なのかを表しています。血液のpHは常に7.35~7.45に保たれています。
細胞内液に含まれている電解質
「カリウム」(K⁺)は、細胞内の主要電解質であり、神経や筋肉の興奮・伝達・収縮などに重要な働きをしています。
体内にあるリンは、そのほとんどが酸素と結合し、「リン酸」(HPO₄²⁻)を形成しています。リンの約85%が骨に含まれています。
残りは主に細胞にあり、エネルギー産生に関わっています。細胞膜、DNA等の重要な物質の構成要素となっています。
「マグネシウム」(Mg²⁺)
細胞のエネルギー源(筋肉)はアデノシン三リン酸(ATP)という物質を持っていて、このアデノシン三リン酸が分解し、無機リン酸を放出してアデノシン二リン酸(ADP)に変化。そのときに発生するエネルギーを使って筋肉を動かしているのですが、そのアデノシン三リン酸を作り出す補酵素としての役割を果たします。
その他にも、カルシウム濃度の調節を行います。細胞内のマグネシウムが減少すると、カルシウム濃度が上昇し、細胞代謝に障害が出てしまいます。
明け方、足がつったりしませんか?これは細胞内のマグネシウムが減少して、細胞代謝が上手くいっていないひとつのサインです。
筋肉の収縮はカルシウムの働き。収縮した筋肉を弛緩させるのはマグネシウムの働き。
マグネシウム不足で、筋肉の痙攣が起きやすくなります。では、同じ現象が血管壁にある筋肉で起きてしまったら、血管が勝手に収縮してしまう血管攣縮と呼ばれる状態になり、高血圧や狭心症の原因となります。
消化管の細胞で起きれば、腸管の働きが悪くなり便秘などの原因となります。
血糖値の調整や骨、神経系を鎮めたりなど、不安感を低減する効果もあるそうですよ。
マグネシウムは、300種以上の酵素反応の補助因子であり、とても重要な役割を果たしています。